CASE2:「2030年のビジョンづくり」プロジェクト

業種:IT業

期間:4ヶ月(プロジェクト型支援)

従業員:1700人

テーマ:ビジョンづくり, チームや組織づくり

 

取り組んだ課題

・チームで共有でき、自分ごととして実現に取り組むことができる2030年のビジョンづくり

・2030年ビジョンを実現する主体としてのチームづくり

 

プロジェクトの方法

・対話型組織開発のアプローチの一つ、AI(Apreciative Inquiry)の考え方と未来を表現する手段としてLEGO(R) SERIOUS PLAY(R)を掛け合わせたものを取り組みのベースとして全体をデザイン

・現場メンバーと「コアチーム」を編成し、チームでの対話を重ねながら4回のワークショップを企画・デザインし、実施

 

実施内容

取り組みにあったっては、上記の状況の中、
「会社のビジョンはあるのだが、社員一人ひとりが自分事だと思えていない」や「自分事とするため、自分たちのビジョンを考えてもらったが、現在の延長線上のものになってしまい、ワクワクして目指したいものにならない」という課題が語られました。

また、昨今のコロナ禍でテレワーク化が進み、メンバー同士が直接会って関わる機会がほとんどなくなってしまったため、メンバーの関係づくりの機会にもしたいという要望もいただきました。

これらの事から、

「全員が参画し、自分ごととして取り組めるこれまでの延長に留まらない形の、ビジョンづくりを行うこと」

「2030を実現する主体となるチームづくりをビジョンづくりと同時に行うこと」

を目的に、全4回のワークショップを「プロジェクト型」で実施することで合意を得て関りを開始しました。

私は外部支援者の立場で関わることがほとんどですが、「プロジェクト型」で取り組むときは、私がプロジェクトやプログラムをデザインしてそれを提供するのではなく、現場メンバーの希望者でコア・チームを結成して進めます。

現場のコア・チームメンバーには「現場の専門家」として、遠慮なく意見や違和感を伝えてもらい、プロジェクトやプログラムへの最終的な落とし込みと当日のファシリテーションは私が行うという協同作業で進めました。

4回のワークショップはそれぞれ平日の1日で設定されましたが、初回からコア・チームメンバー自身や家族に新型コロナウィルスの疑いが出たり、急な顧客対応が入ったりと毎回全員が揃うことは難しい状況でした。

そうした時もコア・チームと共に最初に決めた「全員が参画して、ビジョンを創る」という目的の元、フォローについてコア・チームで話し合い、コア・チームが欠席者のフォローとして、やったことの共有とともに多少簡略化したプログラムを個別で実施し、成果物と語りを丁寧に合流させて、誰も取り残さずにビジョンと具体的な行動をする新たなサブプロジェクトと持続可能なプロジェクトにするための「持続可能なプロジェクト 7ヶ条」が生まれるところまでたどり着くことができました。

 

結果

・全員が参画し、自分ごととして取り組めるこれまでの延長に留まらない形の、ビジョンが表現された

・その実現に向けたチームができた

(フォロー時の報告より)

・もともと受け身だったメンバーがサブプロジェクトではリーダーシップを取るなどひとりひとりの意識や行動に変化が起こり始めた

・プロジェクトメンバーの声が影響し、全社体制の再構築など大きな変化もはじまった。

 

POINT

・一人ひとりの主体性の表れとなる創造性を活かす手法(今回はLEGO(R) SERIOUS PLAY(R)メソッド)で行ったこと

・自分を見つめ、そこから生み出される声を共有する過程で、相互理解や関係性が深まったこと

・コア・チームを活動の中心に置き、ともに取り組む体験がリーダーシップやプロジェクト全体やプログラムデザインの考え方を学ぶ機会となったこと